さて最近、またラーメン屋さんで働き始めて(昔ラーメン屋さんで働いていた)、またまた思い出したこと、経営者を経験して変化したラーメン屋さんへの印象について書きたいと思います。
居酒屋とラーメン屋の違い
何度か書いたことがありますが、自分は2年ほど創作居酒屋のようなRowanというお店を経営していました。
そこと今働いているラーメン屋さんを比べて一番よく感じるのが「客数が桁違いだな・・・」ということ。
Rowanは客席が50前後だったので1日に40人もくれば忙しかったですが、ラーメン屋さんになると100人以上は余裕で集客できてしまう。
というか200人もかるーく来てる。
もちろんラーメン屋だから、集客できるわけではなくて料理、価格、雰囲気、接客のバランスで集客できているわけだと思います。
それでも2倍、3倍と集客できているとなると感覚としては大きな差があります。
しかもオーダーを取るのも、ドリンクを出すのも、料理を作るのも簡単でスピーディーなのでまったく無理している感がなく、最高です。
そして…気がついたらサクッと売り上げ2000ユーロを超えている。
Rowanで売り上げ2000を超えようと思ったら戦場でした。
オーダーを取るにも詳しく料理の説明が必要。
ドリンクもカクテルが入れば、工数が多い。
料理もオーダーが入ってから、色々と手がかかる。
実際に、ラーメン屋さんのホールスタッフとして働いてみて、ここの部分は本当に実感しましたし、反省しました。
Rowanのホールは平日は基本一人でやってもらっていたので、カクテルが入ろうもんなら、相当大変だったし、メニューももう少しわかりやすくしてあげればお客さんとしてもホールスタッフとしても良かっただろうな・・・と。
海外のラーメン屋経営の難しさ
まず言えるのが、土地勘がない場合の難しさです。
自分も飲食店コンサルの端くれとして言えることは、最初の店舗選びが一番難しく、一番悩む上に、顧客との関係が出来上がる前に、この大仕事を達成するのは相当ハードルが高いということ。
お客さん(オーナーサイド)に、この場所で商売を始めたい!という確固たるものがあれば話は簡単ですが、お任せしますと言われると、なかなか難しい。
オーナー視点で見ても、その店舗選びを任せる相手が、本当にマーケット感覚を持った人物なのか見極める必要も出てきます。
ここで店舗選びに失敗してしまうと、何を言っても後の祭り。
海外で物件を取得して、営業権を獲得するのはかなりの費用が掛かる上に、最近の円安でかなり割高に感じてしまうところなので、物件選び、コンサル選びは慎重になるべきだと思います。
そしてそして、加えて難しいのが海外の食材選びです。
日本のようなハイレベルの食材はまず手に入らない。
なんなら手に入らないものもある。
たとえば、小麦粉や味噌などはこだわる方は日本から仕入れられている印象です。
鶏ガラや、豚骨も思うように手に入らないでしょうし、煮干しやその他の魚介系の乾物は高すぎて選択肢にも入らないでしょう。
また、水の違いも日本での経験が長ければ長いほど戸惑うと思います。
うちの桜木屋では軟水器と浄水器を付けて対応しています。そこにも費用が掛かっているわけですよ・・・。
あとはラーメンを作るための調理器具や道具、鍋類も揃えるのは大変です。
鍋などの道具類はまだしも、小さいレードルや小道具は見つけるのはかなり困難なので日本から送るか、手荷物でコツコツ運ぶのが一番いいと思います。
そして最後は現地の人との味覚の違いが、海外でお店を経営することの難しくしている。
基本的にこちらの人たちは濃い味が好きですし、具だくさんのラーメンが好きです。
その辺の妥協点を見つけることも難しさの一つだと思います。
また、現地で採用する日本人スタッフへの語学教育にも悩まされることでしょう。
英語であれば、ある程度問題ないかもしれませんが、ドイツ語、スペイン語、フランス語となるとゼロからスタートという場合がほとんど。
いかに語学ができて気が利くホールスタッフを雇用できるかもかなり大きなカギになってくるところです。
海外のラーメン屋さんの優位性
これについてはたくさんあります。
まずは失礼を承知ながら言うと、ライバルの少なさ、そして弱さ。
まず大都市ではないかぎり、街にラーメン屋さんがないなんてところはごまんとありますし、ラーメンブームとは言ってもまだまだ寿司屋の多さに比べたら少ないものです。
そして、残念ながら海外のラーメン屋さんは、あまりレベルが高いとは言えないお店が多いという点もまだまだ言えると思います。
日本のラーメン屋さんが本気で進出すれば、一瞬で王者になれるのに…、と思うことは多々あります。
もちろんただ出店するだけで老舗のラーメン屋さんを淘汰できるとは思いませんが、その国の方々に驚きと感動をお届けできると思えば、進出する価値は十分にあると思いますし、3年あれば大分と勢力図は塗り替わっていくと思います。
海外のラーメンは1杯の単価を高く設定できるので、日本の感覚で暇だったな、と思ってもかなり売り上げが立っていることがしばしば。
長く居酒屋で働いてきた自分も、「この忙しさで、こんなに売り上げ行くのか…」と驚かされることが多いです。
日本円で考えると1杯の値段が倍なんてことはザラでアメリカではもっと高いラーメンもあります。
その点から見ても、うまくやれば原価率をかなり抑えることができるので、繁盛さえすればかなり利益を得ることができると思います。
まとめ
こんなにざっくりで申し訳ないですが、「海外のラーメン屋経営の難しさと優位性」について書いてみました。
日本で1杯800円前後のラーメンを売っている方は、ぜひ自分に連絡してみてください!(笑)
出店費用は高いですが、倍の値段がつくラーメンを売って返していけるので、どちらをとるか…ですね。
ということで、厨房からは以上でーす!