急にめっきり寒くなって、クリスマスマルクトの風物詩のグリューワインがすでに飲みたくなっている吉田です。
まだ9月です…。
最近ホールにもよく出るようになって、よく怒られる点が増えてきたので、そのことについて皆さんと共有したいと思います。
皆さん結構本気で怒ってらっしゃいます。
当たり前だけど、その国によって価値が違う
昨日怒られたとのは具体的にこういうことです。
「ただのバスマティライスが5ユーロは高すぎるじゃないか」
これです。
バスマティライスというのは、よくインドカレー屋さんなどで見る細いインディカ米のことです。
日本でも安い米として認識されていると思いますが、自分の店ではそこにワイルドライスと言う黒い米も混ぜています。
自分としては、普通の日本食と違うバスマティライスとワイルドライスで価値をつけているつもりになっていましたが、ドイツ人の方からすればこんなバスマティライスに5ユーロも払うのは高すぎるということでした。
ちょっといい例が思いつかないんですが、たぶん日本で言うと…茹でただけのもやしが茶碗一杯くらいの量で500円ぐらいするような感覚だと思います。
多分もやしと書いてあって、500円だったら当然それなりに量があるか、もしくは味付けがしてあると思うと思います。
昨日のうちのお客様も、おそらく5ユーロのライスだったらすごく量があるか何か特別なものだろうと思われたのだと思います。
他の例でいうと…
ドイツでは鶏もも肉より鶏胸肉の方が価値があったりします。
日本でも最近サラダチキンなど栄養の面から価値が見直されているものかと思いますが、やはりもも肉の方が好きな人は多いと思います。
その感覚で、ドイツでもも肉の料理に10ユーロ以上の値段をつけると、鶏もも肉で10ユーロ以上は高すぎると怒られる。
しかも結構本気で怒ります。
とにかくドイツではまず料理の値段、それから量、そして味の順番で評価されているような気がします。
要はコスパがいいか悪いかです。
それも…こんなに美味しくてこの値段、お得!ではなくて、これだけボリュームがあってこれだけソースがかかっていて、この値段、お得!です。
多分皆さんが海外で起業される時(急にこれを読んでくれている人が起業したがっていると決めつける!)も、もちろん現地の人の好みや値段の付け方ボリュームなど研究されるとは思いますが、いざ自分でメニューを作るとなると「こんなに現地の人に寄せた料理は恥かしくて出せない!」と悩むと思います。
これは日本食ではない、こんな料理が作りたかったわけではない。
その葛藤の連続になると思います。
その辺のバランスを考えて現地の人にも受けて、日本人の方にも受けてそして自分のプライドを守れる料理、それを日々考えていくのは本当に大変です。
だってラーメンに豚カツ入れるとか、巻きずしを天ぷらにして揚げて、上から色んなソースをかけて、フライドオニオンをのせて…みたいな物が横行してる世界で、むしろそっちが王道なわけです。
寿司がない日本食なんて、日本食じゃない世界で、寿司無しで戦うにはそれなりの覚悟が必要で自分から挑んでおきながら、「あんなニセモノが評価されるなんて許せない…」なんて文句たれているのが今の自分です。
もちろん資金力があって、「俺はこの料理だけで勝負する」
というのも大事だと思いますし、羨ましいとすら思いますが、今の僕たちには難しく、やはり現地の人にまずは受け入れてもらわないといけないなと思ってます。
すごく当たり前の話なんですが、料理人であればあるほど、そこで折り合いをつけることはなかなか難しいことだと思います。
まとめ
海外で自分の価値観で料理を作ると、「めちゃくちゃ怒るお客さんすらいるよ!」という話でした。
どこで折り合いをつけるか、そのポイントをしっかり決めて、決めたらやり切ってみせるのが経営者としても料理人としても腕のみせどころかなと思っています。
頑張ります。
厨房からは以上でーす!
初めまして。
5ユーロのライスに怒ったドイツ人に
何とお返事されたのか気になります