先日、営業中にホールに出ていたらフラッと、ちょっと身なりがアレなおじいさん(失礼!)が、入ってきて刺身の盛り合わせと熱燗をさらっと頼んで、一人飲みをたしなんでいるのをみて、ドイツでは人は見かけによらないな…と反省した吉田です。
今日は熱燗も温度によって色々な顔を見せるので、知っておくと、より日本酒が楽しめます!的な話を書いてみたいと思います!
温度に対する味覚
人間の舌というのは体温に近いときに一番敏感になります。
すごく冷たかったり、熱い食べ物が常温になると味が濃く感じたりするのはこのためです。
凍っているとおいしいアイスが、溶けると甘ったるくてくどく感じたり、ちょっと味濃いかな…、と感じていた料理が後で食べるとかなりしょっぱく感じたり(冷める間に水分も蒸発しやんす)。
逆にアツアツの時物足りなかった、おかずが冷めてからちょうどよく感じたり、めちゃくちゃうまく感じたりってのもあるんで、料理人は味や状態に気を配る必要がある上に、温度にも注意しなければなりません!
そこにきて、日本酒です。
ホントに5度の差で、色々な顔を見せます。
同じ酒の温度による変化
まずは5℃(雪冷え)の時の、味の感じ方を見ていきましょう。
- アルコール分は重く感じるようになる
- 香りは閉じた印象で、トーンが下がる
- 甘味はすっきりした印象になる
- 酸味はシャープになり、さわやかになる
- 旨味は感じにくくなる
- 苦みは味わいに爽快なキレが出る
- 味わいのボリュームは小さくなる
反対に45℃(上燗)だと…、
- アルコール分は軽く感じる
- 香りは広がるが、さわやかさはなくなる
- 甘味は増して、さらりとしたキレが出る
- 酸味はふくらみ、丸くなる
- 旨味は強まり、長く感じる
- 苦みはやわらぎ、柔らかく感じる
- 味わいはのボリュームが出てまろやかさが出る
どうでしょう。
これだけだとちょっとわかりづらいかもしれませんが、要するに体温に近くなると「寒くて固まっていたすべての要素が、温かくなって緩んで大きくなるイメージ」ですね(雑)
そしておいしい日本酒の温度
さてメインのお話です。
熱い順に、いってみましょう。
55℃以上 飛び切り燗 | 香りは強くなり、味わいは極めて辛口なる。純米酒、本醸造酒、普通酒向き。 |
ほぼ50℃ 熱燗 | 香りがシャープになり、キレの良い辛口になる。本醸造酒、普通酒は最も冴える。 |
ほぼ45℃ 上燗 | 香りがキリッと味わいも引き締まった膨らみ感。純米酒はこの温度で冴える。 |
ほぼ40℃ ぬる燗 | 熱いと感じない温度。香りは高くなり、強いふくらみ感のある味わい。 |
ほぼ35℃ 人肌燗 | 飲むとぬるいと感じる温度。麹や米の良い香りがし、さらさらとした味わい。 |
ほぼ30℃ 日向燗 | 熱いとも冷たいとも感じない温度。香りがたってきて、味わいなめらか。 |
ほぼ20℃ 常温 | やや冷たい。柔らかい香りで味わいもソフト。熟酒がバランスよくなる温度。 |
ほぼ15℃ 涼冷え | はっきりと冷たさを感じる。華やかな香りとろみのある味わい。薫酒向き。 |
ほぼ10℃ 花冷え | すぐに冷たさを感じる。香りは小さくなりまとまりが出てきめ細やか。爽酒向き。 |
ほぼ5℃ 雪冷え | 香りがあまり感じられず、味わいも閉じて固くなる。 |
と、こんな感じです。
自分は、やっぱり上燗くらいが好みです。
みなさんも、この表を参考に色んな温度帯を試してみてくださーい!
ちなみに僕はまじめに温度計で、はかって飲んでます。
それでは厨房からは以上でーす。
またまたこの本で勉強しました。サマサマです。